水稲の早期及び晩期栽培における苗の根に関する研究 : 予報苗の根量と吸水量の関係

概要

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本研究は1953年より香川農科大学の実験圃場で,稲の苗の根の持つ生理的役割を明らかにせんがために行われた。実験は3区からなり,1)土付苗区,2)普通の抜取りに依るもの,標準区及び3)無根区であった。供用の品種は農林1号土で次ぎの結果を得た。 1.水稲の早期及び晩期栽培で土付苗を移植した場合には他の区の場合よりも,葉の損傷が少なく,より速やかに生長した。 2.土付苗の根量(丁寧に水洗)は乾物量で標準区の1.6倍から2.2倍であった。井戸水(PH6.8,氷点降下0.28℃に相当する物質を含んだもの)の吸水量は,土付苗の場合,標準区の1.9倍から2.2倍を示した。故に移植後の吸水量は苗の根量と密接に関係していると云えよう。 3. 苗の根の根量と吸水量の関係は井戸水の場合と施肥した水田土壌の湛水の場合と同様な傾向が認められた。 4. 1953年より1955年の圃場実験の結果に依って,早期及び晩期栽培では,生産力を増大する上において移植後の植傷みを少なくし,苗の再成長を迅速にすることが重要であると云い得るであろう。
香川大学の論文
1956-12-31