肝細胞癌切除後他臓器転移例の予後因子の検討
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概要
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肝細胞癌(肝癌)切除後の他臓器転移(Distant metastasis:DM)例が増加し, 対応に苦慮することも多い.今回DM例の再発後生存率(R-SR)に関与する臨床病理学的因子の解析を行い, DM例に対する治療のあり方を検討した.対象と方法:1999年12月までの10年間に教室で初回肝切除の施された肝癌386例中227例が再発した.このうちDM例は61例(27%)であったが, DM例のR-SRに関与する臨床病理学的因子の単変量, 多変量解析を行った.結果:残肝単独再発166例およびDM例の再発後1, 3, 5年生存率はそれぞれ77, 48, 19%および61, 31, 15%(p=0.0042)であった.DM61例中43例に残肝再発が併存したが, DMの内訳は骨28例, 肺20例, リンパ節11例, 脳7例, 副腎7例, 胸腹壁4例, 腹膜3例であった.今回検討した因子中単変量解析でR-SRに関与する因子は初回肝切除時AFP陰性(n=39), Stage III以下(n=53), 再発時若齢(n=32), 残肝再発治療(n=34), DM巣切除(n=14)の5因子であった.多変量解析ではstage III以下, 残肝再発治療, DM巣切除が独立因子であり, 再発時肝機能因子や初回治療因子は関与しなかった.結語:DM例のR-SRは不良であるが, 残肝再発が治療可能な場合にはDM巣切除がR-SR向上に関与する可能性があるため, 切除も含めた他臓器転移の治療を継続すべきであると思われた.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 2001-09-01
著者
-
井上 清俊
大阪市立大学医学部第2外科
-
木下 博明
大阪市立大学医学部第二外科
-
木下 博明
大阪市立大学 大学院 消化器外科
-
久保 正二
大阪市立大学第二外科
-
首藤 太一
大阪市立大学大学院卒後医学教育学
-
竹村 茂一
大阪市立大学大学院消化器・肝胆膵外科学
-
広橋 一裕
大阪市立大学大学院消化器・肝胆膵外科学
-
田中 宏
大阪市立大学大学院消化器・肝胆膵外科学
-
大場 一輝
大阪市立大学大学院消化器・肝胆膵外科学
-
上西 崇弘
大阪市立大学肝胆膵外科学
-
井上 清俊
大阪市立大学第二外科
-
井上 清俊
大阪市立大学 大学院呼吸器病態制御内科学
-
首藤 太一
大阪市立大学 医学部看護学科
-
大場 一輝
大阪市立大学 肝胆膵外科学
-
広橋 一裕
大阪市立大学
-
上西 崇弘
大阪市立大学 大学院肝胆膵外科学
-
山本 隆嗣
大阪市立大学大学院肝胆膵外科学
-
山本 隆嗣
大阪市立大学医学部
-
久保 正二
大阪市立大学 大学院消化器外科学
-
田中 宏
大阪市立大学医学部第二外科
-
竹村 茂一
大阪市立大・医学・肝胆膵外科
-
田中 宏
大阪市立大学医学部第2外科
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