粘液産生性肝内胆管癌の1例
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概要
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症例は54歳の女性.右季肋部痛を主訴に来院し, ERCPおよびMRCPにて総胆管と左肝内胆管の著明な拡張が認められ, 内部には粘液様物質が充満していた.腹腔動脈造影では肝左葉, 特にA3分枝周囲の濃染像を認めた.以上より左肝内胆管原発の粘液産生性肝内胆管癌を疑い, 肝左葉切除および胆のう摘出術を施行した.本症例は術中胆道鏡でも特徴的な粘膜病変を認めなかったため, 術前血管造影検査で濃染像が認められた範囲を切除したのち, 切除断端の術中迅速組織診を行って治癒切除の判定を行った.粘液産生性胆管癌は過去に本症例を含めて31例の報告があり, その特徴をまとめると, 女性が67.7%, CA19-9の陽性例が33.3%, 乳頭状腺癌が90.3%, 左肝内胆管原発が87.1%を占める.予後は比較的良好で, 根治的な手術が施行された24例中死亡報告例は1例のみであり, 最長6年5か月の長期生存例も存在している.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 2000-05-01
著者
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武田 裕
大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学
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吉川 宣輝
国立大阪病院外科
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辻仲 利政
国立大阪病院外科
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河原 邦光
国立大阪病院臨床検査科病理
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倉田 明彦
国立大阪病院臨床検査科病理
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河原 邦光
国立大阪病院
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河原 邦光
国立病院大阪医療センター病理部
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蓮池 康徳
国立大阪病院外科
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蓮池 康徳
県立西宮病院外科
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辻仲 利政
国立大阪病院 外科
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武田 裕
国立大阪病院外科
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武田 裕
大阪大学大学院消化器外科
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倉田 明彦
国立大阪病院
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倉田 明彦
国立大阪病院臨床検査科
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黒川 幸典
国立大阪病院外科
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蓮池 康徳
医誠会病院外科
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倉田 明彦
国立大阪病院病理部
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