巨大脾腎静脈短絡の2治験例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
脾腫にて発見された巨大脾腎静脈短絡2例の外科治療経験を報告する.症例1は34歳の男性で,巨大脾腎静脈短絡を有する特発性門脈圧亢進症と診断された.食道静脈瘤は軽度で,精神症状もなかったが,経過観察中,アンモニアの上昇を認めたため短絡流量の軽減,静脈瘤増悪防止のため短絡路の切除と胃壁の血行郭清を伴う選択的遠位脾腎静脈シャント術を施行した.症例2は27歳男性で,アンモニアの上昇はなく,食道静脈瘤も軽微であったが,将来的に予想される肝性脳症に対し,短絡路を利用した選択的脾腎静脈シャントとし,さらに胃大小彎の血行郭清を加えた.巨大脾腎静脈短絡を合併した患者では門脈血流量減少に伴う肝機能低下,肝性脳症の発症が予想される.したがって,予防的に短絡路離断を行う必要があるが,その際,静脈瘤増悪に対しては胃壁の血行郭清を行う選択的脾腎静脈シャント術が有効である.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1992-10-01
著者
-
加藤 紘之
北海道大学大学院医学研究科腫瘍外科
-
奥芝 俊一
北海道大学医学部腫瘍外科
-
田辺 達三
北海道大学第2外科
-
中島 公博
北海道大学医学部第2外科
-
田辺 達三
Ntt東日本札幌病院心臓血管外科
-
下沢 英二
北海道大学第2外科
-
下沢 英二
函館市医師会病院外科
-
田邊 達三
北海道大学第二外科
-
田辺 達三
北海道大学
-
加藤 紘之
北海道大学
-
奥芝 俊一
北海道大学医学部第2外科
関連論文
- 原発巣と同時に切除した腎細胞癌胆嚢転移の1例
- 腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した腸間膜神経鞘腫の1例
- 門脈血行異常症(門脈圧亢進症)による上部消化管出血に対する塩酸プロプラノロールの予防効果および安全性の検討
- 胆嚢印環細胞癌の1例
- 縦隔原発MFHによる急性呼吸不全に対し,左主気管支Dumonステント挿入で救命しえた1例
- 小腸間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスの 1 例
- PP-757 局所進行膵体部癌に対する術前総肝動脈塞栓術の有用性
- いわゆる後縦隔foregut cystの1例
- 肺葉切除1年2カ月後に急性発症したexpanding hematomaの1例
- 術前に質的診断し得た虫垂原発粘液癌の1例