産褥期にあるネフローゼ症候群患者にみられた特発性上腸間膜静脈血栓症の1例
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概要
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産褥期にあるネフローゼ症候群患者に生じた上腸間膜静脈血栓症の1例を経験した.症例は24歳女性で,7か月前にネフローゼ症候群と診断され,今回は出産のため入院していた.出産後18日目に急に上腹部痛を訴え,次第に腹膜刺激症状の出現および血性腹水の証明により,発症後6日目に開腹手術を行った.Treitz靭帯から約1m肛門側より約2m50cmにわたる空回腸に壊死腸管を認め,またその領域の腸間膜静脈枝は血栓で充満し血流は途絶していた.壊死腸管を含めた約3mの小腸切除術を行った.術前CT検査で壁肥厚著明な腸管を捉え,診断上有力な手がかりになると考えられた.術前・術後の血液凝固検査では原因となる異常所見は指摘しえなかったが,産褥期,ネフローゼ症候群というhypercoagulabilityが発症成因と考えられた.本疾患は術後再発率が高いことから,予防的治療と注意深い観察が必要である.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1990-09-01
著者
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