動物細胞分裂および癌増殖に対してのインドール酢酸の関与の可能性
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概要
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代表的植物ホルモンであるインドール酢酸(IAA)は植物細胞分裂の制御因子とされている。われわれはIAAが消化器系を主としたヒトの癌組織の細胞分裂が旺盛な部分に多量に存在することを認めた。なお正常組織にもIAAが存在するので, 数種の動物につき検討した結果, 用いた材料すべてにこの存在を確認した。カイコ, マス, ニワトリの受精卵では発生の進行に伴い細胞当りの量はほぼ一定に保たせている。IAAを当初全く含まぬ純合成培地でのLP3細胞の増殖率ならびに透析でIAAを除去した血清を加えた培地での3T3細胞およびニワトリ胚フィブロブラスト等の増殖率は, これら細胞の生合成するIAA量に平行して変動することをも認めた。さらに上記培地上のフィブロブラストの増殖およびウニ卵の発生に当って, 植物生理学上認められていると同様にIAAとPCIBとの間の拮抗作用を認めた。これらからIAAは動物細胞分裂さらに癌細胞増殖に制御因子の一つとして関与していることが考えられる。
- 産業医科大学学会の論文
- 1979-12-01
著者
-
下条 ゑみ
国立病院医療センター消化器科
-
八巻 敏雄
産業医科大学生物学教室
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下条 ゑみ
国立国際医療センター 消化器科
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下條 ゑみ
国立国際医療センター消化器科
-
滑川 和子
東京大学教養学部基礎科学科
-
市村 浩
東京大学教養学部基礎科学科
-
下条 ゑみ
国立国際医療センター消化器科
-
西成 典子
東京大学教養学部基礎科学科
-
吉沢 公利
東京大学教養学部基礎科学科
-
八巻 敏雄
産業医科大学 生物学教室
-
八巻 敏雄
産業医科大学
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