アメリカ黒人文学における疎外の問題 : 自己省察の手がかりとして
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概要
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ここで疎外とは,差別的行為によって生じる孤立状態を意味する. 人は人種の違い, 精神的, 肉体的能力や社会的地位の相違などによって疎外感を感じるし, また, 他人の無思慮な一つの言動によってさえ疎外感を感じることがある. 疎外の原因や結果についての研究は, 哲学者・心理学者・社会学者の仕事であろうが, しかし, 小説家や短編作家もまた, 個人的, 社会的観点から疎外の問題に注目している. 本稿では, アメリカ黒人文学作品を通して, 白人が圧倒的な勢力を占める社会のただ中で, 黒人の人間的平等を主張している黒人作家の声に耳を傾けたい. また本稿は, 素材としてこれらの作品を取りあげるが, このことを通して, 各自が社会の一員として, 更には一個人として, 自己の責任について省察を深め, 疎外の諸原因を見極めつつ, 本当に人格的な自由平等の社会を創造するため, 自己の言動が, 自分と他人に疎外感を与えないよう常に配慮する人間となることを希望している. このことは,産業化社会特に将来の職場のなかで非常に重要である.
- 1983-09-01
著者
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