有機ガス用防毒マスク吸収缶の加熱脱着を利用した再生法の検討

概要

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[はじめに]活性炭を充填した有機ガス用防毒マスク吸収缶は、有機溶剤蒸気が破過すると交換する必要がある。そこで、メタノール、アセトン、ジクロロメタン、イソプロピルアルコール(IPA)及び酢酸メチルを吸着した吸収缶の加熱脱着による再生の可能性について検討した。[実験]25℃の空気恒温槽内で、一定濃度の蒸気を湿度20%、50%、70%または90%の空気(流量 20 L/min)で希釈し、有機ガス用防毒マスク吸収缶(CA-104NII、重松製作所)に通じた。オートガスサンプラー(GS-5000A、ジーエルサイエンス)を用いて吸収缶下流側の空気を採取し、FID付ガスクロマトグラフ(GC-17A、島津製作所)で蒸気濃度を経時的に測定することにより、破過曲線を求めた。蒸気をほぼ飽和吸着させた後、流路を切り替え、乾燥空気を通じながらホルダーを加熱することにより吸収缶に吸着していた溶剤を脱着し、脱着曲線を求めた。吸着温度は25℃、脱着温度は65℃とした。ほぼ脱着が完了した後、常温まで冷却し、吸脱着を繰り返した。[結果と考察]アセトン、IPA及び酢酸メチルは湿度条件により、1回目(未使用の吸収缶を用いた場合)に比較して2回目の破過時間(許容濃度に達した時間)は短くなったが、2回目以降の破過時間はほぼ一定であった。メタノールについても同様であったが、高湿度(70%)で吸脱着を繰り返すと、2回目以降のメタノール濃度は、吸着を始めてすぐに破過した。したがって、この条件では再生使用は困難であり、さらに脱着条件を検討する必要がある。一方、ジクロロメタンの破過時間は、高湿度(70%)でも顕著な短縮は認められなかった。また、脱着時間を長くすることにより、次回の吸着開始後の濃度が低くなることが分かった。以上の実験結果より、有機ガス用防毒マスク吸収缶はこれらの溶剤についてはメタノールを除き、加熱脱着による再生が可能であることが示唆された。
2002-03-01

有機ガス用防毒マスク吸収缶の加熱脱着を利用した再生法の検討

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