粉じん作業状況とじん肺の発生・進展に関わる検証

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じん肺は作業環境の改善から、新規発生率は近年減少傾向にあるが、従事工程、曝露物質、取扱期間による発生の差異について、喫煙等の要因も含め検討している研究は少なく、じん肺予防の観点からその検討が望まれるところである。本研究は、じん肺発症・進展に関して、曝露粉じんの種類や作業歴との関連性について、喫煙歴等の要因も含め検討し、じん肺予防の一助とすることを目的とした。【対象と方法】対象は、耐火煉瓦製造会社に1936年以降に入社した、製造工程作業者195名(男性191名、女性4名)とし、職歴票(雇用年月日、工程・就労期間、取扱原材料、珪石粉じん曝露状況)、じん肺健診結果(胸部X線写真、呼吸機能検査)、喫煙歴から、各要因とじん肺進展の程度について検討を行った。【結果】対象の概要は、平均雇入時年齢は21.8歳、平均従事期間は30.0年であった。作業経験の有無とじん肺発生との関連性については、成形・管理・研磨の3工程で有意な結果が認められた。珪石粉塵曝露の有無とじん肺発生の関連については有意ではなかったものの、珪石取扱い期間とじん肺所見の進展については有意な相関が認められた。また、喫煙の有無とじん肺の発生については、有意ではなかった。【考察とまとめ】特定の作業への従事とじん肺の発生には、関連性が認められ、研磨作業でじん肺発生が比較的多かった理由としては、珪石粉じんへの曝露が一因として考えられた。一方で、成形作業では曝露が少ないことが推測された。喫煙について明らかな関係が認められなかったのは、喫煙率が高いことが理由として考えられた。本調査では、対象者の選択や、作業歴の点で解析の限界を認めるものの、曝露状況と健康障害の因果関係において関連性が認められた。職歴として作業内容や就業状況についての詳細な情報が重要であり、Job Exposure Matrixを含めたハザード情報管理が今後の課題といえる。
産業医科大学学会の論文
2002-03-01

粉じん作業状況とじん肺の発生・進展に関わる検証

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