権利に関する省察
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概要
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権利は「社会的に認められた欲望」と定義できる。欲望という倫理的に統制されるべき側面を持つ点で、権利は倫理と相容れない側面を持つ。また、権利は個人主義、自由主義と深い関連を持っている点で、個人の自由を実現するための概念だと言える。そのため、権利を無制限に主張すると全体の統制が損なわれる傾向がある。現在問題となっている環境破壊や資源の枯渇は、人間が自己の権利を際限なく追究した結果であり、今後は権利の主張を抑え、地球レベルの全体主義を推進する必要がある。古代インドの倫理学では禁戒と勧戒によって人間の行動を規制する。この立場からは、権利は侵してはならない禁戒であり、進んで実践すべき勧戒ではない。このことを自覚することが、適正な権利の主張につながると考える。また、これまで全て個人単位で規定されていた権利を、特に家族を中心とした集団単位で規定すれば、全体の視点を養うのに役立つと考えられる。
- 日本生命倫理学会の論文
- 1999-09-13
著者
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