単離胃主細胞障害に対するプロスタグランジンE_2のジアシルグリセロールを介した細胞保護作用
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概要
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プロスタグラジンE,(PGE_2)のエタノールによる胃粘膜細胞障害に対する保護作用がどのような細胞内過程を介するかを,モルモット胃単離主細胞を用いて検討した。細胞障害はトリパンブルーを用いたdye exclusion test,lactate dehydrogenase (LDH)ならびに<51>^Crの放出量で測定した。エタノールは濃度依存性に主細胞に障害を及ぼしたが,主細胞をPGE_2により前処理するとPGE_2の濃度依存性にこの障害は軽減された。PGE_2前処理はpH,温度が生理的条件であるときに最大効果が得られ,酸性やアルカリ性,または,より低温の条件下ではその効果は減弱した。PGE_2刺激により主細胞内cAMP濃度は増加したが,dibutyryl cAMP (dbcAMP),フォルスコリンにより細胞内cAMP濃度を増加させても細胞保護作用は観察されなかった。一方,PGE_2刺激は主細胞内Ca^<2+>移動に影響を与えなかったが,PGE_2により主細胞のジアシルグリセロール(DG)生成量は増加した。さらに,膜透過性合成DGである1-oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol(OAG)や,Cキナーゼ活性化作用を有するフォルボールエステルである12-O-tetradecanoylphorbol 13-acetate (TPA),phorbol12,13-debutylate (PDBu)を用いた前処理により,主細胞障害は軽減され,Cキナーゼ活性化作用を持たないフォルボールエステルである4α-phorbol12,13-didecanoate (4αPDD)による前処理では,細胞保護作用は観察されなかった。また,Cキナーゼの限害剤である1-(5-isoquinolinylsulfonyl)-2-methyl piperazine (H7)はPGE_2の細胞保護作用を抑制した。これらの結果から,モルモット単離胃主細胞においては,PGE_2はDG/Cキナーゼ系の活性化を介して細胞保護作用を発揮する可能性が示唆された。
- 神戸大学の論文
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