技術進歩下における設備更新 : コントロール・リミット政策による更新時点の決定

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近年、技術進歩下において低コストで操業可能な新設備が相次いで出現する中で、効果的な設備更新決定方式への二一ズは経営においてますます高まりつつある。技術進歩という動態的状況下で適用できる実践的な決定システムを構築するためには、今後、この問題を予測が可能な有限計画期間の問題として扱い、状況の変化に応じて適応的に再評価することが重要となっている。本研究では技術進歩の予測が可能な有限計画期間の設備の経済的な更新をDPの定式化から導かれるコントロール・リミット政策によって決定する方法を提案する。決定にあたっては、時点Xに導入された設備の時点nにおける、操業費用H(x、n)と設備の処分価額V(x、n)の減価額の和C(x、n)=H(x、n)+V(x、n)-dV(x、n+1)が重要な役割を果たすことを明らかにし、C(x、n)がxの減少関数になるとき最適政策がコントロール・リミット政策で与えられることを示す。特に、H(x、n)、V(x、n)が設備の導入時点xと使用期間n-xの双非線形関数として与えられる場合、コントロール・リミット政策が存在する十分条件をC(x、n)のxに関する凸性の観点から検討する。この状況の特別な場合として、キャッシュ・フロー関数が指展関数で与えられる問題を解析し、ボルト製造企業への調査にもとづく2つの適用事例を考察する。さらに、日下の従来の研究〔4〕との比較を通じて、本研究がこの研究の本質的な拡張として位置づけられることを示す。最後に、状況の変化にもとづく予測の改訂に対処する方策を与える。本研究で提案された更新決定方法は、通常の最適政策はもとより、戦略的な要因などの理由によって更新時点が変更されてもそれ以後の最適政策を簡単に求めうる実践的な方法であり、現実の更新決定に対しても効果的であることを明らかにする。
社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会の論文

技術進歩下における設備更新 : コントロール・リミット政策による更新時点の決定

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