待ち行列網における平均系内時間のための連立方程式
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概要
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近年、計算機システムの評価のために、そのモデル化として、待ち行列網が考えられ、多くの研究がなされている。特に、到着時間、及び各窓口でのサービス時間が指数型であり、客の窓口から窓ロペの移動がマルコフ連鎖として表現される系について、Jacksonは平衡確率がいわゆるプロダクトフォームで表わされることを示していたが、1975年にBaskett、Chandy、Muntz、Palaciosにより、多様次規律と一般的なサービス時間分布を持つ待ち行列網についても、平衡確率はプロダクトフォームにたることが示された。本論文では、プロダクトフォームが成立する系について、客の平均系内時間、一つの窓口から他の窓ロペ到着する迄の平均所要時間等が、連立一次方程式の解として与えられることを示した。従来、平衡確率から多くの特性値、例えば、平均列長、窓口の利用率、スループットなどを求めるアルゴリズムは多く発表されているが、それはいわばシステム側に関心のある量であり、客側に関心のある待わ時間に関する特性値を得るためのアルゴリズムは現在でも少ない。まず、第二節で、ジャクソン型の簡単な閉鎖系を考察する。閉鎖系では常にN人の客が系内を循環している。いま任意時刻の客の並び方の平衡確率はプロダクトフォームで与えられているが、これから、ある客のある窓口でのサービス終了時点、もしくは、到着時点での他のN-1人の客の並び方の確率は、終了、または到着した窓口とは独立に、系内に丁度N-1人いる系の平衡確率と等しいことが与えられる。これからwiをi番窓口での平均待ぢ時間、W_<i1>をi番窓口に到着してから1番窓口に到着する迄の平均所要時間、pijをi番窓口のサービスを終了した客がj番窓口に行く確率とすれば、次が導かれる。[numerical formula]ここではMは系内の窓口の数である。なおWiは平均列長、平均到着率からLittleの公式を用いて求められる。簡単な規律の場合には、ここで求めた到着時点での平衡確率から求めることも可能である。さらに、第三節では開放系、第四節ではBaskettetc。により導入された系について考察し、同様次結果が得られる。開放系では、ある窓口に到着してから系外に去る迄の平均所要時間を考察する。
- 社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会の論文
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