白瀬隊によって採集されたキングエドワード七世陸地の岩石に関する覚え書
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概要
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1911年〜1912年にわたって,白瀬隊はロス氷床に上陸南下を試みたが,その間,開南丸は東方キングエドワード七世陸地に向って調査を行い,岩石と皇帝ペンギンを採集してきた.これらの岩石についての記載はこれまで行われていず,またキングエドワード七世陸地がアンデス褶曲帯に属するものか,あるいは,東部南極大陸の先カンブリア紀楯状地に属するものか,はっきりされていない状態である.幸い,当時の岩石標本の薄片が東京大学地質学教室に保存されてあり,とくに久野教授のおすすめと御好意により,その薄片を拝借して検鏡することができた.それによる記載と多少の考察をのべた.スチゥワート(1939)やフェアブリッヂ(1952)はキングエドワード七世陸地の岩石は東部南極大陸の先カンブリア紀楯沃地に属するものと述べているが,岩石学的にみて仏スチゥワートの分類の規準に反するものが多く,必ずしも先カンブリア紀のものというきめてはない.むしろどちらかと云えば,アンデス摺曲帯に属するものと云えそうである.何しろ薄片が六枚で,標本自体が見当らないのであるから,はっきりした結論は出す方が無理である.皇帝ペンギンの胃の中から発見された岩石片は,東方のエドセルフォー下山脈のものとまったく同じで,この山脈はアンデス摺曲帯に属するものである.これは,ペンギンがエドセフォード山脈の附近から氷に乗って流れてくる可能性が考えられるが,そうでないとしたら面白いことになる.今後の調査が期待されるゆえんである
- 国立極地研究所の論文
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