細胞外マトリックスにおけるプロテオグライカンの役割
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概要
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プロテオグライカン(proteoglycan)は硫酸化多糖であるグライコサミノグライカン(GLYcosaminoglycan)を主成分に持つ多様な糖蛋白(蛋白部分はコア蛋白、Core proteinとよばれる)の総称であり、ほとんどの真核細胞によって生合成される。哺乳動物組織、特に細胞外マトリックス中に広く存在し、組織機能の違いを反映した異なる分子種のプロテオグライカンの存在が知られている。これらプロテオグライカンに共通する生物学的機能は、その主成分であり強い陰性荷電を持ったグライコサミノグライカンとアミノ酸配列の異なった種々のコア蛋白に依存している。グライコサミノグライカンはその陰性荷電のため陽性に荷電した物質や水分子に強い親和性を示し、細胞外マトリックス中では保水的な性質と圧縮的な外力に抵抗を示すような物理化学的性質を持つ。このほかグライコサミノグライカンには種々の蛋白と特異的な相互作用を示す性質があり、細胞 - 細胞外マトリックス、細胞 - 細胞間における細胞接着などを介した細胞の相互作用や、成長因子作用の調節に関与するなど、プロテオグライカンに特徴的な生物学的機能発現の基礎となっている。本講演ではプロテオグライカンの化学的構造を概観し、これまでに比較的良く研究された代表的プロテオグライカンを例にそれらの細胞外マトリックスにおける機能を説明したい。とりわけ、近年明らかにされてきたプロテオグライカンの関与する多彩な生物学的機能について考察する。
- 硬組織再生生物学会の論文
- 1998-10-04
著者
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