統計教育にいま、何が求められているか? : 高校までの数学教育と社会からのニーズの狭間にたつ大学での統計教育のあり方
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概要
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Repeatedly revised government guidelines for teaching after World War II have lead to the serious concern for education on statistics, because the revisions, especially the last one, had caused the reduction of items in this category in every education course. For example, children will have no chance to learn probability in primary school. Even in higher education, students may not receive an education on statistics because corresponding subjects are optional. On the other hand, acquiring statistical methods are conspicuously desired these days, resulting in in-house trainings are widely planned. This kind of trainings obviously aims at applying methods in decision making. For now, programs selected with care at a university are eagerly demanded for providing the last chance to master statistics. In this paper, after examining the revised guidelines for primary, secondary, and higher education, we present one trial curriculum in statistics allowing for social needs for it. 数学教育にたずさわる研究者、教育者の間では、小学校から高等学校までの数学のカリキュラムにおいて、「確率・統計」に関する項目が減少していることに対して懸念が広まっている。年間の授業数の軽減は、指導内容の削減を余儀なくしているが、その削減対象が「確率・統計」に広く及んでしまっている。新指導要領の実施に反対する動きもある。 戦後、学習指導要領は、大幅な改訂がほぼ10年ごとに、その間に更に数回小規模な改訂が行われてきた。そのたびに、確率・統計分野の学習内容は、高学年へ、あるいは上位の教育課程へと移行し、高等学校においては選択科目の項目として盛り込まれるようになった。全員が学ぶ必修科目のなかでの位置づけは薄くなっていったのである。 その一方で、企業の社員研修などでは、統計的手法が業務で活用できるようにしたという要望が強くある。しかもその内容は幅広い。 ツールとして統計的手法を身につけ、活用する方向を見出せるようにする十分な機会は、大学での4年間に凝縮されてきたといっても過言ではない。 本論文では、まず、大学入学以前における統計教育を、学習指導要領から見る内容で検討し、問題点を指摘する。次に、企業での社員研修では、統計手法の習得についてどのような要望があるのか。また、筆者が担当した研修プログラムの経験から、研修の実施上の問題や、取り上げる内容について指摘する。最後に、以上を踏まえて、大学における統計教育はどうあるべきか、意味づけとともにカリキュラムの試案を提示する。
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