一般演題 40 保存パラフィン包埋甲状腺微小癌細胞におけるRET遺伝子再配列の解析への新しいcDNA増幅法の適用
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概要
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原爆被爆者においては約400症例の甲状腺微小癌が観察されている. 予備的疫学調査によると,甲状腺乳頭癌ほど明瞭ではないが,微小癌の発生頻度は被曝線量に依存して増加する傾向が見られ,乳頭癌とは反対に高齢被爆者に発生頻度が高い傾向が見られる. 放射線誘発甲状腺癌の発生機序全体をよりよく理解するためには甲状腺乳頭癌だけでなく,甲状腺微小癌の分子的特徴を明らかにすることが重要である. 原爆被爆者における多くの甲状腺乳頭癌や微小癌組織は,ホルマリン固定-パラフィン包埋といった形で保存されており,被爆者における甲状腺癌の発症機構を解明する上で,パラフィン包埋組織の使用は必要不可欠である. 最近,パラフィン包埋標本が組織病理学的解析だけでなく,分子遺伝学的解析にも用いられるようになってきた. しかし,保存組織を用いた甲状腺微笑癌の解析において,使用可能なRNAは極微量であり,かつ断片化している. また特に貴重なパラフィン包埋組織切片は,その使用量が限定されるために,解析が困難であることがある. 我々はパラフィン包埋甲状腺組織より抽出したRNAの有用性を高めるために,アダプターを用いた増幅方法を以前報告したが,今回,全長cDNA作成のために開発されたクロンテック社のSMART法を利用することにより全cDNAの迅速かつ簡便な増幅方法を確立した. さらに我々はこの増幅法が甲状腺微小癌におけるRET遺伝子再配列の解析に有用であるかを検討した.
- 長崎大学の論文
著者
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平井 裕子
放射線影響研究所
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濱谷 清裕
放影研放射線生物学・分子疫学部
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林 雄三
老人保険施設陽だまり
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濱谷 清裕
放射線影響研究所放射線生物学・分子疫学部
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林 雄三
広島安佐市民病院
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平井 裕子
放射線影響研究所放射線生物学・遺伝学部
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平井 裕子
放射線影響研究所遺伝学部
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林 雄三[他]
広島安佐市民病院
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