マルカイガラムシ類の二次寄生蜂マダラツヤコバチに関する研究 : III.増殖能力
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概要
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マダラツヤコバチの増殖能力に関与する要因について調査し以下の結果を得た。1. 羽化直後の成虫には成熟卵は認められず,本種はFLANDERS (1950)が定義しているsynovigenicな型のpolyootene typeに属する種で,一時の成熟卵の蔵卵数は10個以下である。2. 産卵は羽化後1∼2日以内に開始され,産卵期間は30日内外である。1日当りの産卵数は2∼6個で一生の間に平均106卵を産む。50%の累積産卵率は羽化後12日に達成される。3. 成虫の寿命および母虫の大きさと総産卵数の間にはそれぞれr=0.7810, 0.7305の有意な相関が認められ,寿命が長いほど,また大きい個体ほど多産である。成虫の寿命は産卵の有無によって影響されない。4. 母虫の日令あるいは大きさは子世代の生存率に影響し,日令の若いそして体の大きい親に由来する卵の成虫羽化までの生存率は高かった。日令の進んだ親は雄のみを産む傾向があった。5. 25°C, 60%RH, 14時間照明の恒温槽内でのマダラツヤコバチの純繁殖率は36.004で,1世代に要する平均時間と内的自然増加率はそれぞれ32日と0.112/♀/日であった。6. 野外におけるマダラツヤゴバチの最も高い増殖率6.4は,寄主(フタスジコバチの蛹)密度が急激に高くなる9月以後に認められ,これは室内で求めた純繁殖率の17.8%に相当する。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1976-06-25
著者
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