マルカイガラムシ類の二次寄生蜂マダラツヤコバチに関する研究 : IV.寄生識別能力
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概要
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野外の材料の調査と室内実験の結果から,二次寄生蜂マダラツヤコバチの寄主識別能力に関して以下のことが示唆された。1. 本種は産卵に際して一次寄生蜂が寄生していない健全なカイガラムシと一次寄生蜂が寄生しているカイガラムシを識別でき,前者に対しては産卵しない。2. 本種はカイガラムシに寄生している一次寄生蜂フタスジコバチのステージが幼虫(タイプC)であるか蛹(タイプD)であるかを識別し,産卵対象として後者を最もよく選択する。タイプCはタイプDの密度が低下したときに産卵対象とされる。3. 本種はフタスジコバチの蛹と自種の蛹を識別し,前者に対して産卵選択性を示す。後者が産卵対象となるのは前者の密度が低下したときである。4. 本種はすでに本種が寄生しているフタスジコバチの蛹と,本種がまだ寄生していないフタスジコバチの蛹を識別し,後者に対して産卵選択性を示し,過寄生を回避しようとする。過寄生が起こるのは健全なフタスジコバチの蛹の密度が低下したときである。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1978-08-25
著者
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