北陸地方におけるツマグロヨコバイの個体数変動
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概要
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北陸のツマグロヨコバイの個体数変動の特徴を, ほ場密度調査資料によって, 西日本の成績と比較しながら検討した。1) 富山では本田侵入世代の密度が低く, 九州の500分の1程度であった。このことは, 富山では田植えが1か月以上早く, 本田侵入個体群も1世代早い越冬世代成虫であることと, 積雪による越冬虫淘汰によって初期密度が極端に低い年があることが主要因とみられた。反面, その後の増殖率は非常に高かった。2) 個体数の年次変動が極端に大きく, その上限, 下限〔各世代平均密度の平年値±標準偏差×2〕の比が1, 000倍にも達し, 九州の2.3倍とはけた違いの密度不安定性が認められた。3) この密度不安定性は, 積雪による越冬虫淘汰の後作用とみられた。そして第II世代までの密度は, 初期密度と正の相関関係となることから, 積雪の後作用は少なくとも第II世代(8月中旬)まで継続すると認められた。4) 第III世代になるとその増殖率は初期密度と負の関係になり, 初期密度に対する増殖率の密度調節的な相補的関係が卓越してくることがわかった。5) しかし, 密度調節的傾向が卓越してくるのが第III世代になってからであるため, ピーク世代(普通第III世代)の密度安定化にまで至らないまま終息期になってしまうものとみられた。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1983-05-25
著者
-
成瀬 博行
富山農試
-
今井 富士夫
富山農試
-
常楽 武男
富山県農業試験場
-
関口 亘
富山県農業試験場
-
嘉藤 省吾
富山県農業試験場
-
成瀬 博行
富山県農業試験場
-
今井 富士夫
富山県農業試験場
-
若松 俊弘
富山県農業試験場
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関口 亘
富山農試
-
嘉藤 省吾
富山農試
-
若松 俊弘
富山農試
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