日本産カメムシ上科の幼期に関する研究 : 第11報 Scotinophara属の幼期
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概要
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クロカメムシ属は日本に4種類分布していることになっているが, 現在その分布が明らかなのはクロカメムシ, オオクロカメムシおよびヒメクロカメムシの3種類だけである。これらは稲, 甘しゃ, その他の穀類やホモノ科雑草を害する農業上極めて重要な一群であるが, それらの卵および幼虫の形態はクロカメムシについて不完全に記録されているだけで, 他の種類については全く不明であった。本報では, クロカメムシ属および上記3種の卵および幼虫の形態的特徴を記載し, 近縁のハナダカカメムシ属との識別点および3種の検索表を明らかにすると共に, 食草や生態を略述した。本属の卵および幼虫は, 卵の網状構造に小刺がなくて表面に小点刻を装うことと, 幼虫の触角突起が顕著に発達することで, 近縁のハナダカカメムシ属とは容易に識別できる。本属の上記3種は次の検索表によって互に識別できる。1(4)卵かく上の網状構造は不規則。1令幼虫ではしゅうせん(臭腺)前部開口を有する腹背板の側端は丸みを帯びる。2・3令幼虫では触角突起が背面より見えない。4・5令幼虫では中葉が側葉より短かい。2(3)卵かく上の点刻は小点刻のみ。1令幼虫の腹部第1節の腹背板は第2節のものより広い。2〜5令幼虫は体上に強く曲ったやや長い短毛を比較的密に装う。ヒメクロカメムシ 3(2)卵かく上の点刻は小点刻のほかに, 網状構造の交点に大点刻がある。1令幼虫の腹部第1節の腹背板は第2節のものより狭い。2〜5令幼虫は体上に弱く曲った短毛を疎に装う。オオクロカメムシ 4(1)卵かく上の網状構造は規則的な六角形状。1令幼虫ではしゅうせん前部開口を有する腹背板の側端はさい(載)断状。2〜5令幼虫では触角突起が背面より見え, 中葉は側葉より長い。クロカメムシ
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1963-03-31
著者
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