野菜・花卉に寄生するカンザワハダニとナミハダニの薬剤感受性
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概要
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本邦の主として西南暖地の野菜・花卉に寄生・加害するカンザワハダニとナミハダニの有機リン剤および選択性殺ダニ剤に対する薬剤感受性を検定し, 両種の薬剤感受性の特徴とその背景について考察した。1) ナミハダニの各種薬剤に対する感受性はカンザワハダニよりも相対的に低下していた。この傾向は各種の選択性殺ダニ剤でとくに顕著であり, ナミハダニの各種薬剤に対する感受性の著しい低下が本邦の西南暖地における多発生の一要因となっている可能性が考えられた。2) 両種の各系統の有機リン剤に対する感受性はいずれも標準系統より低下していた。しかし両種の系統間の感受性の違いは最大でも2.4倍以下であり, 感受性のパターンは類似していた。この結果から, 両種の有機リン剤に対する抵抗性は互いに交さ関係にあること, そして抵抗性には各系統に共通した主要な抵抗性機構が関与していることが推定された。3) 各種の選択性殺ダニ剤に対する両種の感受性は系統間で著しく異なり, 有機リン剤の場合のように感受性スペクトルの類似性は認められなかった。薬剤感受性の高い系統の採集地ではこれら薬剤の投下量も少ないことから, 選択性殺ダニ剤感受性の違いはその地域で過去に使用された選択性殺ダニ剤の投下量をある程度反映したものであると考えられた。4) 両種の各系統の選択性殺ダニ剤に対する感受性の相関を検討した結果, dicofolとchlorbenzilate, phenisobromolate, tetradifonは程度の差こそあれ交さ抵抗性の関係にあると考えられた。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1983-11-25
著者
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