アブラムシの有翅型胎生雌の出現について : IV.キビクビレアブラムシRhopalosiphum prunifoliaeにおける有翅型出現に対する光の影響
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概要
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キビクビレアブラムシRhopalosiphum prunifoliae無翅型胎生雌から生じた幼虫に光を当て, その有翅型出現に対する影響力を調ベた。実験はすべて25℃の定温下で行い, 食草としてはオオムギHordeum vulgareの葉を与えた。光を照射する場合にはガラス張りの定温器中に移し, 夜間は60Wの電光で両側より照明した。実験結果を要約すれば次のとおりである。1)4000〜5000ルクスの光を当てても580ルクスの光を当てても有翅型の出現率には有意の差が見られなかった。2)生直後の幼虫を光に当てたのちに暗黒中に入れると光の照射時間の長短にかかわらずほとんど有翅型にはならないが, 反対に最初暗黒中に入れ, しかるのちに光を照射すると多数の有翅型が出現する。したがって幼虫が暗黒中にある間に有翅型に変化しうるような素地がその体内に醸成され, この素地を生じた幼虫が光の刺激によって有翅型になるのではないかと考えられる。その最高出現率が見られるのは理論上では生直後の幼虫を20.5時間暗黒中に入れたのちに光に当てた場合である。3)生翅の臨界期前における光の照射時間は同じであっても, 断続光(1時間ごと)より連続光(20時間)の場合のほうが有翅型出現に対する影響力が大きい。4)生翅に対する光の影響は直接的であって, 光が食草の成分を変化させ, それによって影響を与えるというがごとき間接的なものではない。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1958-09-01
著者
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