ワタアブラムシAphis gossypii GLOVERの薬剤抵抗性 : I.静岡県における薬剤感受性低下の実態とエステラーゼ活性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
静岡県におけるワタアブラムシの薬剤感受性低下の実態を明らかにするため, 各種の植物から採集した個体群について薬剤感受性の検定を実施し, かわせて個体別のエステラーゼ活性を測定した。1)有機リン剤(dichlorvos, malathion), カーバメート剤(carbaryl)、合成ピレスロイド混合剤(fenvalerate・malathion)のうち, 合成ピレスロイド混合剤に対する感受性低下はほとんどみられなかったが, 有機リン剤に対しては顕著な感受性低下が認められた。2)Dichlorvosの抵抗性比は最大でも30倍強にとどまったのに対し, malathionのそれでは100倍に達する個体群も認められ, 有機リン剤のなかでも薬剤の種類によって抵抗性の発達程度が異なった。3)有機リン剤に対する感受性低下の程度は, ウリ科作物, キク, イチゴから採集した個体群で大きく, ナス科作物, ムクゲ, ツルウメモドキから採集した個体群では小さい傾向がみられたが, 感受性低下の程度と殺虫剤の使用回数には明確な関連が認められなかった。4)エステラーゼ活性の個体頻度分布は寄主植物によって大きく異なり, ウリ科作物, キクおよびイチゴでは高活性個体の頻度が高く, ナス科作物, ムクゲ, ツルウメモドキでは低活性個体の頻度が高かった。5)薬剤感受性の検定およびエステラーゼ活性の測定結果から, 本虫の薬剤抵抗性には寄主植物との関連が示唆された。6)DichlorvosあるいはmalathionのLC_<50>値は個体別に測定したエステラーゼ活性の平均値と正の相関を示した。
- 1989-11-25
著者
関連論文
- ワタアブラムシAphis gossypii GLOVERの薬剤抵抗性 : I.静岡県における薬剤感受性低下の実態とエステラーゼ活性
- クリバネアザミウマの寄主植物と有効薬剤の探索
- Verticillium lecaniiの感染および病死体上の菌糸発育に対する各種殺菌剤の影響
- ワタアブラムシAphis gossypii(GLOVER)の薬剤抵抗性クローンの各種薬剤に対する感受性と協力剤の影響
- マメハモグリバエの増殖に及ぼす寄主作物と温度の影響
- マメハモグリバエの天敵寄生蜂Diglyphus isaeaおよびDacnusa sibiricaに対する各種農薬の影響
- 施設トマトにおける黄色粘着トラップと蛹トレイによるマメハモグリバエの幼虫発生予測
- ハモグリバエの寄生蜂Hemiptarsenus varicornisの発育期間
- 静岡県におけるマメハモグリバエの寄生者相と殺虫剤の影響
- I211 ハモグリバエ類の輸入天敵Diglyphus isaea及びDacnusa sibiricaに対する農薬の影響(寄生・捕食 生物的防除)
- A328 マメハモグリバエの施設トマトにおける密度調査法と分布様式(生態学・発生予察・被害解析)
- マメハモグリバエLiriomyza trifolii(BURGESS)の発育と産卵に対する温度, 日長, 寄主植物の影響
- マメハモグリバエ Liriomyza trifolii(BURGESS)に対する各種殺虫剤の効力
- マメハモグリバエ成虫の野外における移動分散
- D207 マメハモグリバエ寄生蜂を放飼した施設トマトほ場における寄生蜂群集の動態(寄生・捕食・生物的防除)
- 施設ミニトマトのマメハモグリバエに対するカンムリヒメコバチ Hemiptarsenus varicornis の防除効果
- B205 静岡県におけるナモグリバエのリサージェンス(防除法・害虫管理・IPM)
- 施設栽培トマトにおける寄生蜂によるマメハモグリバエの生物的防除 : II.イサエアヒメコバチとハマグリコマユバチによる生物的防除の現地実証
- 施設栽培トマトにおける寄生蜂によるマメハモグリバエの生物的防除 : I.小規模温室におけるイサエアヒメコバチDiglyphus isaeaの放飼効果
- トラフアザミウマのマリーゴールド4品種に対する加害性と防除薬剤