数種りん翅目昆虫の中腸細胞質で増殖するEnterobacter sp. : IV.殺菌と抗原性の保持について
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概要
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数種りん翅目昆虫の中腸細胞で増殖するEnterobacter sp.ならびにカイコ軟化病由来のS. marcescensの殺菌と抗原性の保持について検討し,次の結果を得た。1) 30分間の紫外線照射で両細菌ともに死滅したが,抗原性は12時間照射後においても残存した。2) 超音波処理(20kHz, 10分間)は出力50Wの場合,両細菌の生菌数への影響はみられなかったが,100W以上では生菌数が減少し,Enterobacter sp.は150W, S. marcescensは200Wで死滅した。しかし,抗原性はいずれの処理によっても消失しなかった。3) 両細菌ともに60°C 5分間の加熱処理で死滅した。また,Enterobacter sp.の抗原性は70°C 10分間の温水処理,90, 80°C 10分間,70°C 60分間の乾熱処理では失活しなかった。4) 凍結融解の生菌数に対する影響は8回以上半復すると両細菌ともに生菌数が減少した。5) 両細菌ともpH 2, 3, 12, 12.9では水素イオン濃度の影響により生菌数が減少したが,抗原性は消失しなかった。pH 1.2ではともに死滅し抗原性も消失した。6) 次亜塩素酸ソーダ,フェノール,水酸化ナトリウムによって両細菌ともに死滅し抗原性も消失した。昇汞,エチルアルコール,過酸化水素,ホルマリンは両細菌を死滅させたが抗原性には影響を与えなかった。メチレンブルー(Enterobacter sp.のみ),クリスタルバイオレット(Enterobacter sp.のみ),酢酸,水酸化カルシウムは生菌数を減少させた。7) Enterobacter sp.はテトラサイクリンに,S. marcescensはストレプトマイシンに最も感受性であり,ペニシリンに対しては耐性であった。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1988-11-25
著者
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