カイコガPyrenees種由来の2系統の後部絹糸腺における比較細胞学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
多糸量系と少糸量系は,欧州種の1種,Pyrénées種(H5)から50代にわたって,その繭層歩合によって継代分離し,少糸量系では裸蛹がみられるほどその絹生産能力が低下した。多糸量系の後部絹糸腺は,その超微形態および核酸量において実用蚕品種と大差はみられなかった。しかし,少糸量系では,多糸量系に比し核の分岐の程度が低く,核小体数も少く,粗面小胞体にはラメラ状構造が形成され,またゴルジ装置内のフィブロイン基本繊維の数も減少していた。これらの形態的観察は,少糸量系では細胞内でのフィブロイン合成活性が明らかに低いことを示している。リボゾームRNAおよびフィブロインmRNAの合成比は,両系の間で差は見られないが,DNAおよびRNA量は少糸量系の約1/3に低下していた。したがって,少糸量系における超微形態的変化は,フィブロインmRNAを含む全RNAの量的減少を伴うDNA量の低下によって生じたと思考される。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1980-08-25
著者
関連論文
- A Quantitative Analysis of Radiation-Induced Chromosome Aberrations with a Fluorescent Digital Image Microscope
- 抗幼若ホルモン活性物質の投与と家蚕繭糸の繊度および微細構造
- 幼若ホルモン及び抗幼若ホルモン活性物質の家蚕の産卵性に及ぼす影響
- 抗幼若ホルモン活性物質による家蚕の3眠化の誘導
- 検出の効率化と有効プロ-ブおよびプライマ-の開発とその検出技術の開発 (原子力基盤クロスオ-バ-研究の現状と今後の展開--放射線リスク評価・低減化分野について--放射線による染色体異常の高速自動解析システムに関する研究,および新たなDNA解析手法を応用した放射線突然変異の検出・解析技術の開発)
- カイコ蛹へのマイトマイシンC投与によって誘発された白卵油蚕の特性について
- 昆虫ゲノム解析の研究の現状 (第9回昆虫機能シンポジウム記録集--昆虫のゲノム解析とその利用)
- フリーザー・ミルによるカイコ後部絹糸腺からの高分子量DNAの調製
- クワコBombyx mandarinaのリボゾームRNA遺伝子(生化学)
- カイコガPyrenees種由来の2系統の後部絹糸腺における比較細胞学的研究
- 限性黄繭蚕品種に現われた遅れ小蚕について
- テンサン幼虫の血液細胞の超微形態
- カイコの培養・後部絹糸腺におけるリボゾームRNA合成に及ぼすエクダイソンの効果(内分泌学)
- カイコ Bombyx mori の後部絹糸腺におけるフィブロイン mRNA 合成に及ぼすアラタ体摘出の効果
- カイコBombyx mori4齢眠期の後部絹糸腺におけるフィブロインmRNA合成(昆虫変動時における高分子合成の調節)
- カイコ四令眠期の後部絹糸腺RNA(発生学)