テンサン幼虫の血液細胞の超微形態
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
テンサン(Antheraea yamamai GUÉRIN)の5令幼虫の血球を超薄切片法により透過電子顕微鏡で観察した。テンサン幼虫の血球は,原白血球,顆粒細胞,小球細胞,プラズマ細胞,およびエノシトイドに分類できる。原白血球は未分化の血球で,細胞内小器管の発達が低調である。顆粒細胞は細胞質中に特徴的な縞状顆粒が存在し,体液中へ放出される。粗面小胞体は槽を形成し,暗調の顆粒やリソソームも見られ,仮足状の細胞質突起を保有する。小球細胞は極めて少数であり,細胞質に特有の小球を有し,顆粒細胞とを区別することができる。プラズマ細胞は,紡錘形または洋梨状をなし,細胞質中に顆粒や小球はなく容易に区別することができる。エノシトイドは大形の血球で,数は少なく,細胞内小器管の発達は概して低調である。細胞質中には微細な細繊維状物を保有している。テンサンの血球は,カイコガに比較し基本的に異なる点はほとんどみられなかったが,顆粒細胞,小球細胞ならびにエノシトイドに若干の特徴が見られ,これらの点について考察した。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1978-11-25