味覚からみた霊長類の採食戦略(味覚と食性5)
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概要
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雑食性である霊長類の味覚を、食物選択という点から見直した。甘味は原則として効率的なエネルギー摂取をする上で役立つと考えられるが、霊長類では身体サイズが大きくなるにつれ甘味の弱いものへも嗜好性を示すようになり、より甘味による制限が小さくなる。一方、苦味・渋味は毒物回避をする上で役立つと考えられるが、特に葉食性の種(コロブスなど)と類人猿では苦味に依存した食物選択はみられない。葉食性の種は反芻胃などを備えているが、大型類人猿ではそうした身体的変化はみられないことから、「同一品目を多量に摂取しない」という戦略が考えられる。さらに、こうした採食行動が、ヒトの食文化を生む生物学的基盤となってきた可能性がある。
- 日本味と匂学会の論文
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