支援費制度の問題点(<特集>支援費制度と障害者の生活)
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概要
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支援費制度は、福祉の公的責任を縮小し、利用契約制度と民間企業の参入からなる社会福祉基礎構造改革と、国の財政抑制を主眼とした社会保障制度改革の二つの改革の一環としての政策である。福祉の市場化は、福祉サービスが金銭換算されたうえでの需要と供給の売買過程である。国の支援費単価決定には平等な福祉ニーズの保障のための市場の論理に委ねるべきでない部分を統制する役割があるが、科学性と民主主義の保障がないと福祉行政の中央集権的管理システムとして働く危険性がある。公表された支援費単価を見ると、調査による裏づけもないまま現行の措置費財政を機械的にスライドさせたにすぎず、施設サービスでも居宅サービスでも国の財政負担削減が前面に出て、障害程度区分も支援度合いを反映せず実態にあわない。市町村は、支給決定の権限と責任をもち、また単価や支給量の裁量権をもつことが特徴だが、財政的負担の困難から申請や利用の抑制がはたらく可能性が高い。ケアマネジメントが制度化されず、市町村に一任されたことは、利用者の権利を保障する観点から問題であり、今後、利用促進運動のなかでケアマネジメント理論・ケアマネージャー論の深化が求められる。
- 全国障害者問題研究会の論文
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