振動工具取扱い者の皮膚通電抵抗

概要

論文の詳細を見る
振動工具取扱い者の健康管理の一指標として,振動障害特殊健康診断受診者に,ノイロメーターを用いて皮膚通電抵抗を測定し,さらにストレス度との関連についても検討した。対象は,平成10年度の和歌山県振動障害特殊健康診断受診男性者のうち,民間林業従事者17名(A群)と県土木部職員66名(B群)であった。対照群(C群)は男性32名とした。皮膚通電抵抗は,ノイロメーターの電気的条件が直流12Vで両極短絡時200μAで,代表測定点に人体外部から能動的に通電測定し,簡便に短時間で身体全体の新陳代謝(活動度)などをみることができる。ストレス度は,桂らの30項目の質問紙を用い,項目の該当数によって,「良好」(O〜5個),「軽度」(6〜10個),「中等度」(11〜20個)に分類した。平均電流量は,A群が29.6±10.4μA,B群が44.4±15.7μA,C群が54.2±21.4μAであり,A群が有意に低かった。ストレス度をA・B群で比較すると,A群で「中等度」が有意に高かった。A・B群における平均電流量とストレス度の関係を検定すると,A群の平均電流量はストレス度が高い者ほど有意に低下していた。これらの結果は,振動工具の日常的な取扱いが,労働者の健康状態やストレスに影響を及ぼしていることが示唆された。
関西鍼灸大学の論文
2001-09-30