会計情報と投資者のリスク予測
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
企業の公表する会計報報が,一般投資意思決定において有用であるためには,当該会計情報が,投資者のリスク-リターンの評価・予測に役立つことが必要である。本稿では,株式市場から得られる投資報酬についてのリスクを投資者が予測する際に,会計情報が果たす貢献について,いわば行動主義的な観点から実証的に調査し,その結果について考察した。会計情報としてはADRMとして以下の6つの変数を選択した。すなわち,1)配当性向,2)流動比率,3)資産規模,4)資産成長,5)自己資本比率,6)利益の変動性である。分析は,会社名に基づくリスク予測(Aグループ)と会計情報に基づくリスク予測(Bグループ)とで行なわれたが,両者には差異があった。会社名に基づくリスク予測は,ここで用いた会計情報以外の情報をも含む広範な情報に基づいていると考えられる。しかし,その場合であっても,リスク予測の約60%はここで用いた会計情報で説明できる。もっともこれはアメリカの場合の79%に比べると低い。さらに各会計情報の貢献についてみてみると,5%の有意水準で,Aグループでは自己資本比率が有意であり,Bグループでは利益の変動性,自己資本比率,資産成長が有意であった。個々のアナリストのリスク予測と会計情報との関係をみてみると,Bグループにおいては6つの会計情報のうち1つ〜3つだけを用いるアナリストがほとんどであり,特定の情報に注目してリスク予測を行なっているといえる。
- 関西学院大学の論文
- 1987-03-31
著者
関連論文
- 『IASC の将来像』に対する FAF-FASB の反応
- 円卓討論 財務会計の課題と展望 (特集・財務会計の課題と展望)
- 変貌する日本の会計--国際基準の影響と企業の対応(5)変化する日本基準の影響(その2)
- 変貌する日本の会計--国際基準の影響と企業の対応(4)変化する日本基準の影響(その1)
- 変貌する日本の会計--国際基準の影響と企業の対応(3)日本基準と国際基準の相違
- 座談会 企業再生に果たす会計の役割--実務と会計教育のあり方
- インターネットを利用した多国間授業
- インターネットを利用した多国間授業 : 国際会計の実験授業を経験して
- 主成分分析法による企業評価システム : 連結決算データを用いて
- 変貌する日本の会計--国際基準の影響と企業の対応(6・完)公認会計士監査に対する意識
- 変貌する日本の会計--国際基準の影響と企業の対応(2)ディスクロージャー意識と会計制度への期待
- 変貌する日本の会計--国際基準の影響と企業の対応(1)変化する日本の会計と企業行動
- パネルディスカッション(会計操作をめぐる諸問題)
- 連結会計基準の国際的調和をめぐる現代的課題
- 取替原価主義会計の理論構造 : 取替原価主義会計の情報会計論的検討(その 1)
- ドイツ会計学における経済的利益概念の一考察
- 簿記教育におけるeラーニングの有用性
- 米国財務会計基準審議会 (FASB) における会計観 : 「概念構造」を中心として
- 投資者の会計情報利用に関する一考察 : 証券アナリストのリスク予測を中心として
- FASB 概念フレームワークに関する一考察 : 「概念書第 5 号」を中心として
- 取得原価主義会計の再検討--時価主義会計の潮流の中で-5-収益費用アプロ-チから資産負債アプロ-チへの転換
- 会計基準の国際的調和化をめぐる動向 (経営のグロ-バリゼ-ションと会計の国際化)
- 会計情報と投資者のリスク予測
- 法人税法会計論序説
- 分析会計における分析資料の研究 : 通商産業省の経営分析資料を中心として
- 分析会計と経営分析の先駆的諸学説
- 分析会計における 2 つの潮流 : レヴ教授とストーバス教授の所説を中心として
- 分析会計における財務諸表の構想
- 貸借対照表の本質論考
- 成長性会計論序説 : 会計的思考における成長概念を中心として
- 久保田音二郎博士記念号刊行によせて
- 会計報告書論の課題 : 特に会計的財務諸表を中心として
- 虎田乕雄教授記念号の刊行によせて
- 宮本又次博士記念論文集の発刊に際して
- 管理財務諸表の一展開 : オペレーショナル計算書とエクィティ計算書について
- 『資金フロー的会計構造における資産利益率とその適用』
- 資金フロー的会計構造における見積管理財務諸表 : 例題による実践的適用を中心として
- 会計の理論構造と計算機構 (久保田音二郎博士記念号)
- 管理会計上における財務諸表の構造 : 資金フローによる管理的財務諸表の体系化を中心として
- 会計の理論構造と債務諸表 : 報告債務諸表の限界をめぐって
- 会計の理論構造と会計機能 : 解釈会計論における成長計算をめぐって
- 減価償却計算方法の吟味
- 簿記教育上の認識ギャップ : 測定ツールとしてのE-Learningの可能性(商学部開設50周年・商科開設90周年記念号)
- 会計教育上の問題点と対応 : IAS に関連して
- アジア会計の比較研究方法論 : 実験的アプローチの適用
- ベトナムにおける会計の役割
- 会計アプローチと測定属性 : 国際会計比較の枠組み
- アジア会計への IAS の影響 : ベトナムに焦点を合わせて
- 書評 八田進二著『会計プロフェッションと監査』
- 国立大学法人会計基準の特徴
- 柴健次著『市場化の会計学 : 市場経済における制度設計の諸相』
- わが国の会計基準設定に関する問題点(商学部開設50周年・商科開設90周年記念号)
- ハンガリーにおける企業内容開示の現状
- ハンガリーにおける会計の国際的調和 (中・東欧諸国における会計の国際的調和)
- 概念フレームワークと会計基準 (特集 日本の企業会計制度とIFRS(国際財務報告基準)) -- (第1部 日本の企業会計制度の現状と課題)
- 会計基準と基準設定の国際的調和化をめぐる諸問題 (会計基準と基準設定の国際的調和化)
- 序文 : 年報第17号の発刊にあたって
- わが国におけるコーポレート・ガバナンス改革論 : 会計・ディスクロージャーの視点から
- わが国とIOSCOの連結開示基準(統一論題)
- 債券格付けと会計情報
- 日経財務データ分析システム序説
- 日経財務データによる特定引当金の実証分析
- 『IASCの将来像』とわが国の会計基準設定機関
- わが国における金融ビッグバンと会計改革
- アメリカにおけるディスクロ-ジャ-制度 (特集 ディスクロ-ジャ-制度の回顧と展望--規制緩和とディスクロ-ジャ-制度) -- (欧米のディスクロ-ジャ-制度)
- フランスとドイツにおける会計規準設定機関の国際化対応
- アジア各国の会計制度 : 動向・特徴・課題(環太平洋経済圏における産業・経営・会計の諸問題(Part II))
- 金融商品をめぐる国際会計基準の展開 : E48 から IAS32 まで
- 藤井則彦著;『日本の会計と国際会計(増補第2版)』
- 国際会計基準委員会の最近の活動状況
- 連結および持分法適用の範囲 (連結財務諸表制度の改善方向)
- 各国における主要会計問題と国際協力--FASB主催・世界会計基準設定者会議の議論から(海外会計事情)
- 日本的会計の特質 : 比較文化論的アプローチ
- 会計の国際化とわが国ディスクロ-ジャ- (ディスクロ-ジャ-制度の現代的課題) -- (会計ディスクロ-ジャ-の役割と限界)
- 社債発行差金の会計学的本質
- 減価償却の概念
- 企業会計上の減価償却と税務計算上の減価償却 : 我が国における税法上の減価償却規定を中心として
- 減価償却会計における基礎概念
- 減価償却会計序説 : 会計の理論構造を中心として
- キャパシティ・コスティングと減価償却費
- 減価償却費のタイミングについて : 歴史的取得原価回収説の批判を繞つて
- 『三つのコスティングについて』 : ダイレクト・コスティングの特質を繞つて
- 利益測定のためのダイレクト・コスティング
- 減価償却と除却に関する一考察
- 企業資金と減価償却費
- 減価償却会計の本質
- 日本会計研究学会大会報告
- 日本会計研究学会第十二回大会報告記
- 土地の会計学的考察 : 自己所有土地を中心として
- 日本会計研究学会第十一回大会報告
- 会計原則と税務計算の一考察 : 税法近代化を繞るディダクション原則とマツチングの原則について
- 会計基準・会計教育の国際化と日本の対応
- Do Negative Perceptions of Certified Public Accountants Drive Students' Career Aspirations?
- インタ-ネットを利用した多国間授業
- 情報会計における債権者意思決定モデルの展開
- 第1回 公認会計士に寄せる期待と課題 : 『会計専門職大学院』の果たす役割 (「会計サミット」特集)