p21によるヒト肝細胞株での分化誘導療法の開発
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概要
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近年,肝不全に対する肝補助療法として肝細胞移植や肝機能の中心を担う部分に生物学的素材を用いたバイオ人工肝臓の開発が望まれている.肝細胞療法にしようする細胞はより高い分化肝機能が維持されていることが重要であると考えられる.p21WAF1はcyclin-dependent kinase (CDK) inhibitorであり,特にG1期における細胞周期停止を誘導する事が知られている.また,p21を強制発現させる事で様々な細胞株で分化誘導が示されている.本研究ではSV40T抗原ヒト不死化肝細胞株NKNT-3におけるp21の分化誘導能を検討した.NKNT-3にp21発現アデノウイルスベクター(AdCMVp21, CMVのエンハンサー及びプロモーター下流にp21がインサートされている)およびTAT proteinとp21のfusion protein (pTAT-21)を用いて,p21の形質導入をおこなった.細胞形態,細胞周期,アルブミン発現,薬物代謝酵素であるcytochrome P450関連酵素(CYP)発現い及ぼす効果を検討した.免疫染色およびWestern blottingによってAdCMVp21およびpTATp21による効果的なp21の発現がNKNT-3細胞に認められた.p21形質導入後の細胞は細胞密度は減少し,胞体の増大を認めN/C比の低下が認められた.細胞周期解析ではG1 arrestの状態となった.また,アルブミンおよびCYP3A4, Cyp2c9の発現増強が認められた.ヒト不死化肝細胞(NKNT-3)にp21を過剰発現させることによる分化機能誘導が可能であることが示唆された.
著者
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