調理器具におけるエネルギの有効利用について(第1報) : 各種加熱原理に基づく調理器具の熱効率
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概要
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家庭電化調理器具における電力の有効利用状態を調べるために,発熱原理別に1200Wの電子レンジと1200Wの電磁調理器および600Wの電気釜をとりあげ,それぞれの加熱効率を調べた.実験は調理器具に流れる電流が外部要因によって変化しないように定電圧電源を用いて100V一定にし,実験室内は空調装置を利用し常時17℃に設定した.実験中の調理器具内の液体温度の上昇は銅-コンスタンタンの熱電対を用いて取り出し,ディジタル温度計で観測できるようにするとともに,6ペン式記録計に記録させた.また実験中の調理器具にかかる負荷電圧と負荷電流も記録させた.結果として次のことを得た.供試の調理器具を使用して水1200g(容器の水当量を含む)を加熱した場合,電源を入れてから実際に水温上昇が確認されるまでの時間は電気釜で80秒,電子レンジで10秒,電磁調理器で20秒くらいを示した.これは本文中の(8)式(MH+m)T = 0.2389Ptη_1η_2η_3において,効率列η_2の値が電子レンジで一番大きく,次いで電磁調理器,さらに電気釜と続くことを意味している.エネルギの有効利用について述べると,上式におけるη_1の値は電気釜で1.00,電磁調理器で0.74,電子レンジで0.52であった.さらに溶液の温度が30℃から60℃に加熱されるときのη_2×η_3の値は,電気釜で0.70〜0.85,電磁調理器で0.84〜0.92,電子レンジで0.48〜1.00(水道水の場合は0.80〜1.00)であったので,結局η_1とη_2およびη_3を含む全体としての定常効率η_cは,電気釜で0.78〜0.85,電磁調理器で0.62〜0.68,電子レンジで0.25〜0.52(水道水の場合は0.42〜0.52)となった.電磁調理器や電子レンジにおいては,今後η_1の値を大きくすることが望まれるし,電子レンジにおいては,導電率が高い溶液の加熱は効率が悪くなるので水道水を沸騰させてから後,食塩などを添加するなどの方法を講じて,エネルギの有効利用に務めると良い.終わりに,本研究にあたり指導および助言を戴きました,三重大学森邦男教授に厚くお礼申し上げます.
- 名古屋女子大学の論文
- 1988-03-01
著者
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