中部地方におけるダム湖とそれに連なる川の陸水学的研究(第1報) : 木曽川水系の丸山ダム湖とそれに連らなる川の生物
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概要
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木曽川水系丸山ダム湖とそれに流入する川およびそれから流入する川について陸水学的な調査をおこなった結果つぎのことがわかった.1.ダム湖の水温垂直分布は冬季においては表層部と深底部との間にほとんどちがいはみられないが,夏季の場合は表層より5〜10mと30m付近に変水層がみとめられる.2.透明度は冬季は2.5〜2.8m,夏季は1.8〜2.3mである.3.pHの垂直分布は湖首部においては表層と底層とのちがいはみられないが温尾部では表層より下層にゆくにしたがってその値が低くなる傾向を示している.4.O_2の垂直分布は冬季においては表層と下層とのちがいは殆んどみられないが夏季の場合は中央部および湖尾部では底層部は著しく少ない.5.プランクトンは冬季の場合は数的,量的にも著しく貧弱で,植物プランクトンでは,Synedra ulna, Melila ranulata, Fraglaria sp.が,動物プランクトンではAsplanchna priodonta Synechaeta Peclinata, Asplachna sp.が少量みられた.夏季の場合,湖首部においては貧弱であるが,中央部,湖尾部では植物プランクトンはDinobryon drergens, Coscinodiscus gigasが優占種として,動物プランクトンではBosminposis aeiteriとBosmina longilostrisが優占種となして出現する.6.底生物物は湖底ではTubifex sp.とユスリカ科の幼虫がみられ,Tubifex sp.が特に多い.湖岸ではGomphus citimus, Potamanthus kamonisなどの水生昆虫の幼虫が得られた.7.魚類ではZacco platypusオイカワ,Zacco teminckiifカワムツ,など15種類の生息が認められ,このうちZacco platypusの発生が著しく多い.8.本ダム湖に流入する川および流出する川の底生動物では水位の変動,底質の状態により群集構造がことなる.またこれらの群集の生活形もそれにともないことなる.
- 1965-03-20
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