飼料へのセレン添加が若雌鶏の組織,卵および排泄物セレン濃度におよぼす影響
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概要
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産卵鶏のセレン代謝に影響をおよぼす諸要因を検討するための一環として,産卵鶏に適したセレン量の範囲で給与飼料のセレン水準を順次増加させ給与した場合,組織,卵および排泄物中のセレン濃度がいかなる影響を受け,それがセレン代謝とどのような関連性を有するかについて検討した.体重1.9kg,産卵率84%程度の冬季に孵化した170日齢のロードアイランドレッド種の若雌鶏19羽に,基礎飼料としてセレン濃度0.23mg/kgの市販成鶏用飼料を2週間給与し,その後,基礎飼料に亜セレン酸ナトリウムで0.44,0.53mg/kgのセレンを含むように調製した飼料を,それぞれ3週間ずつ給与した.各飼料の給与を開始した後,定期的に採血し,血液セレン濃度および血漿GSHPX活性を測定した.採血を行った日に産卵された卵の卵黄,卵白および排泄物中のセレン濃度についても測定した.また,各期の最終日に6羽をと殺解体し,肝臓および腎臓中セレン濃度の分析に供した.結果の概要は次のとおりであった.生理的に必要とされるセレン量が給与されている若雌鶏に,さらに微量のセレン添加を行っても,その成長や生産性を改善することは期待できなかった.血液セレン濃度や血漿GSHPX活性もほとんど影響を受けなかった.これは吸収されたセレンの利用率が低下することや,体外への排出が増加することによって,平衡状態が保たれたことに起因すると推測された.卵黄,卵白および排泄物中のセレン濃度は飼料のセレン水準によって影響され,卵白や排泄物のセレン濃度は給与セレン水準に比例する傾向にあった.しかし,卵黄では必ずしも比例するとは眠らなかった.摂取セレン量が増加するにつれ,卵黄中に利用されるセレンの割合は低下した.卵白や排泄物においても摂取セレン量が多くなると,それに対する卵白や排泄物中のセレン量の割合は低下した.しかし,さらに摂取セレン量が多くなった場合,その割合は再び増加した.従って,摂取セレン量が毒性レベルに近づく程,恒常性を保つため卵白や排泄物へのセレンの排出は増加すると推測された.
- 1984-03-15
著者
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