ネットワーク社会における消費者保護の制度的枠組み : オンライン・プライバシー保護を中心に
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概要
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論説本稿は、ネットワーク社会における消費者保護のための制度的枠組のあり方に関し、オンライン・プライバシー保護の問題を中心に論ずる。 B- to- C の電子商取引では、消費者と事業者が取引過程で対面することは基本的に無い。このような環境下でのB- to- C 電子商取引においては、消費者の個人情報は取引における事業者と消費者を結ぶ唯一の結節点である。また、ネットワーク社会では、個人情報の多くがデジタル化されており、たとえ、取引当事者が適切な情報管理を行ったとしても侵害を防止しえない。ネットワーク上でのプライバシーは、リアルワールドのそれに比してより侵害を受けやすく、一度侵害が発生すると全世界に被害が拡散し、従前の状態に戻すことは事実上不可能である。故にオンライン・プライバシーの保護はリアルワールドに比してより慎重に進められるべきである。以上の観点から本稿では、オンライン・プライバシー保護に関する最近の政策動向について整理し、今後の政策課題を検討する。我が国では従来、この問題に対してガイドラインによる自主規制が重視され、その水準も高まってきている。しかし、実際には我が国ではこうした自主規制を個々の事業者のレベルでサポートするプライバシー・コンサルティングが産業として全く認知されていない。また、2000 年10 月に決定された「個人情報保護基本法制に関する大綱」は、事業者の経済的負担の軽減を目的に小規模事業者を個人情報取扱事業者に課される義務の主体から除外している。しかし、消費者保護の見地からは、事業規模によって義務主体を区別するアプローチは問題である。むしろ、全ての事業者を法の遵守義務主体に指定し、経済的負担の軽減に関しては、補助金制度の拡充、あるいは税制改革により、JIS Q 15001 の水準を達成した事業者に対して、プライバシー保護減税を実施する等のより積極的なインセンティブを導入すべきである
著者
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