スタンダールにおける「愚行」 : シェイクスピアとの関わりにおいて
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概要
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スタンダールは'La Folie'(狂気・愚行)について、独特の観念を抱いていた。自意識、自己分析の癖の強かった彼は、その弊害をもまた自認しており、愚行、狂気に到る情念の有り様を、むしろ情念の自然な発露として、また自意識の殻からの解放をもたらしてくれるものとして尊重したのである。この「愚行」のパラドックス、価値の転倒は、シェイクスピアの諸劇において、やはり重要なモチーフを成しており、少年時代よりシェイクスピアに傾倒していたスタンダールは、己れの作品中でこの観念を展開する際に、たえずシェイクスピア作品のエコーをそこに響かせていたことが、窺われるのである。
- 1998-06-30
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