独占企業と寡占企業に対する最適環境税
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概要
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本稿では、不完全競争経済での独占企業及び寡占企業における環境税の最適税率が部分均衡分析のもとで導出される。まず第2節で、独占企業の生産に伴い発生する汚染物質排出量一単位当たりに新たに環境税を課す場合を次善解の手法を用いて考察する。具体的には、Barnett (1980)に沿って独占企業に対する次善解の最適環境税率がピグー税であれば等しくなるはずの社会的限界損害費用よりも小さくなることが示される。また、この最適税率が一意に或る範囲内に収まることを、Katsoulacos-Xepapadeas(1995)が用いた合理的な諸関数の特定化により明らかにする。続く第3節では、Misiolek (1988)に従い、独占を維持するために独占企業が負担するレント・シーキング費用と独占による死重損失の合計である独占から生ずる社会的損失を最小にするような独占企業に対する最適環境税率をピグー税率との比較において導出する。最後に第4節では、生産物と費用関数において同質的な企業が複数存在し、他の寡占企業の生産量を所与とするクールノー型の寡占企業に対する最適環境税率を、クールノー・ナッシュ均衡において求める。このとき、企業数が多くなればなる程、最適環境税率はピグー税率に近づき、その数が無限大になるとき、それはピグー税率に等しくなることが示される。
- 関西大学の論文
- 2003-06-15
著者
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