ACTFL-OPIによる一考察(1)
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概要
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本稿は、第2言語(中間言語Inter language)としての日本語の口頭能力判定に有効なACTEL-OPI(The American Council on the Teaching of Foreign languages-Oral Proficiency Interview)を取り上げ、その有用性を援用し日本語母語話者の口頭能力育成に役立てる試案を提起するものである。「口頭能力」とはACTFLのいう「口頭言語運用能力」のことであり、従来のGrammatical competence偏重の言語教育からCommunicative competenceを重視する教育に様変わりする中で、その育成が目的化されてきた。「国語」教育においても従来教育されてこなかった言語運用という側面は今、注目を浴びるものとなってきている。言語運用としての国語教育を怠ってきたッケは、大学生の言語表現不足の中にも端的に表れている。日本人母語話者の口頭運用能力もどこかで訓練が為されなければならない。しかし、どこに基準を設けて何をどう訓練すればいいのであろうか。そこで、注目されるのが、口頭能力判定OPIである。さて、本学における「日本語I、II」は留学生のための科目であり、日本人は受講できない。先に述べたように、母語を客観的な視点から眺め、分析するための訓練がなされるためには「日本語」の授業を日本人にも開講する必要がある。もし本学で、留学生と日本人大学生が共に「日本語」の授業を受けるならば、そこで行なわれるInteractionはお互いの口頭言語運用能力習得にとって有益であろう。「みせかけ」の言語環境ではなく、自ずと説明を必要とする環境における訓練は、その教育効果が大だといえるからである。OPIの汎言語的基準を援用し、留学生には日本語の口頭運用能力の習得を、日本人大学生には、自明とする母語(日本語)に対する客観的視点の習得を、双方の運用能力育成となる授業展開を提案する。
- 2003-01-31
著者
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