乳幼児療育機関と特殊学級との連携について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
障害を有する子どもに対して乳幼児と小学校の時期の一貫した療育または教育的サービスをしていくことの必要性は以前から指摘されていた。しかし現実には「小学校に入ったらその時点から子どもの様子を捉えて教育して行く」と小学校では宣言し「乳幼児療育機関での指導がどのようなものであったか等があまり重要視されない」という保護者や療育関係者の声も多くあった。本研究では1994年度および2002年度に北海道A管内の情緒障害学級担任教師に対し、乳幼児療育機関との連携をどのようにとらえ、連携をどのように進めていこうとしているのかをアンケート調査を実施して比較した。また、乳幼児療育機関と小学校特殊学級の連携が濃密に行われている北海道足寄町での活動を分析した。これらの調査から、1.小学校の特殊学級担任は、1994年度の調査では乳幼児療育機関との連携を「あまり必要ない」と考えていたが、2002年度の調査では「重要なことだ」と認識するようになってきた。2.「連携が重要だ」ということに気が付いてきてはいるが、実際に連携には踏み込めず具体的な活動には至っていない。3.教員に連携の意識が芽生えた背景には、乳幼児期の指導の重要性を説いた研究の紹介や行政・研究団体等の積極的な働きかけがあると思われる。4.現時点で合同ケース会議を定期的に実施するなどきめ細かい連携がなされている足寄町では、組織の確立よりも人間的な付き合いが基盤として大きな要素を占めている。
- 北海道教育大学の論文
- 2003-02-05