日本語の口唇-軟口蓋および口蓋わたり音のフォルマント移動 : 若年成人女性の初期音響データ
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概要
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日本語の口唇-軟口蓋・口蓋わたり音のフォルマント移動の測定方法を示し、その標準値を求めるために、成人女性話者11名に標的音声/awa/と/aja/の連続とそれらを合む文を生成させた。広帯域スペクトログラムと線形予測法(LPC)によるフォルマント軌跡を用いた音響分析により、標的音声とフォルマント変化の持続時間、わたりの開始・終了地点と子音中央部の第1フォルマント(F1)と第2フォルマント(F2)を測定した。これらの測定値より、フォルマント変化率(kHz/s)を算定した。この結果、/awa/と/aja/のF1とF2の遷移パターンは、時間的に対称性をもち、話者および発諸条件にかかわらず一貫していた。 F1の変化率は/w/・/j/とも近似し、全体平均で4.49kHz/s、話者個人では2.13〜7.28kHz/sであった。F2変化率は、/j/(全体平均8.61kHz/s)の方が/w/(全体平均3.47kHz/s)よりも大きかった。文の生成で話速度が高く(反対に、VCV持続時間は短く)なってはいたが、F1とF2の変化率に一貫した傾向を認めなかった。このような音響データは、話者の正常な調音運動を反映すると考えられ、高齢者や構音障害の患者の発語を評価する際に参照する標準データとして用いることになる。
- 2003-03-25
著者
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