『草の葉』以前のウォルト・ホイットマン : 1840年代の短編小説を中心にして
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概要
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1840年代初頭のWalt Whitman (1819-92)は,精力的に短編小説を書いた。それらの多くは,主にUnited States Magazine and Democratic Review (以下Democratic Reviewと略す)に掲載された。Democratic Reviewは, William Cullen Bryant (1794-1878), Nathaniel Hawthorne (1804-64), Edgar Allan Poe (1809-49), James Russell Lowell (1819-91)など,当時の優れた作家が投稿する一流の文芸雑誌であった。これにより, Whitmanは著名な作家の仲間入りを果たし,詩人というよりはむしろ,短編作家としてその地位を築き始めていたのである(Zweig 33)。これら初期の短編は, 1855年の『草の葉』(Leaves of Grass)初版と比較して,形式・内容共に余りにも平凡であるために,ほとんど注目を集めていないのが現状である。しかし文学的な価値が乏しいという理由で,これらの短編を軽視してはならない。なぜなら,そこには伝記上の事実として記録されることのない若いWhitmanの生活環境や,当時の彼が直面させられていた境遇がかなり色濃く影を落としているからである。そこで,本諭では1840年代に発表された短編をいくつか取り上げ,この時期のWhitmanの生活環境や境遇がどのようなかたちで短編の中に反映されているのかについて考えてみることにしたい。
- 大同工業大学の論文
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