戦略的管理会計研究の展望 : 戦略策定・実施のプロセス・モデルと戦略,組織構造,管理会計システムの構造
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概要
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近年,戦略との関わりのなかで管理会計をいかに捉えるかといったことが論じられ,このような領域の研究が戦略的管理会計研究と総称される。こうした研究では,企業における戦略の策定と実施が,システマティックでかつロジカルにのみ行われるという「分析的手続」の仮定,および,会計情報は戦略的計画の形成および実行においてのみ利用されるということが前提とされている。そして,こうした機能優先的な仮定のもとに,顧客に関する情報,コンペティターに関する情報などを収集し,既存の管理会計情報を拡張することが提案される。 本稿では,上述のような仮定をはずして,管理会計の及ぼす組織現象を捉えた。すなわち,「分析的手続」に対して,より現実的な戦略の策定・実施のプロセス・モデルを提示し,戦略は相互作用のプロセスのなかで策定・実施され,戦略の策定と実施は区別できないこと。また,会計情報が戦略策定における意思決定,すなわち,会計情報が戦略計画の形成,および実行においてのみ用いられるとする前提に対して,管理会計が戦略的に利用されるケースを指摘し,戦略,組織構造,管理会計システムの構造を記述するモデルを検討した。戦略的管理会計として提唱されているものは,既に多くの企業のオペレーショナルな活動でみられるものである。ただ,そのような情報は,会計数値という形で表示されるとは限らないし,必ずしも経理部門で収集されるようなものでもない。それゆえ,今後の戦略的管理会計研究の展望として,既存の管理会計手法を拡張しようとする方向以外に,管理会計の及ぼす組織的,行動的側面を記述的に捉えた研究が必要となることを指摘した。
- 富山大学の論文
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