サービス業における経常的な管理会計の検討
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概要
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本稿では,サービス業における経常的な管理会計の基本領域である,原価管理と利益管理を取り上げた。一般に,サービス業において原価計算情報を用いた経常的な管理会計は有用でないとされている。これは「サービスは無形の財であり,かつその形態は定型的ではない」という前提と,「非定型的で無形の財を取り扱う企業には,標準原価計算および直接原価計算は適さない」という2つの前提が暗黙のうちに置かれているためであろう。しかし,アンケート調査の結果に基づいてこの前提を再検討した結果分かるように,サービス財は無形の部分と有形の部分,非定型的な部分と定型的な部分とを併せ持つ混合的な財である。したがって,採用されるべき手法も混合的なものとなろう。さらに,本稿では財が無形,非定型的という性格を有する企業を,業種に関わらず「サービス業的企業」と命名し,その管理に適した管理会計手法について考察した。サービス業的企業の原価管理としては予算管理が有用であるが,その基礎となる情報はABC(活動基準原価計算)によって算定すべきである。また,利益管理の手法としては顧客別収益性分析が有用であるが,その場合においても,ABCが基礎となる情報を提供する。
- 2000-06-25