サービス・パッケージの決定における管理会計情報の有用性について
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概要
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本稿では,サービス商品のデザインにおける重要な課題であるサービス・パッケージの決定とその決定時における管理会計情報の役割について検討した。サービス・パッケージのデザインにおけるサービス・マネジメントの領域と管理会計(製品属性の原価計算,価値連鎖分析,VE)の違いは,(1)便益を束として捉えるか,束として捉えたあとに細かく分析的に用いるか,(2)会計情報に対する重視度,(3)サービス業独自の性格をどの程度考慮しているかの3点にまとめられる。そこでアンケート調査を実施して,この3点について考察した。サービス業者においては,個別の便益と共に便益の束がそのサービス商品独自のものと認識され,かつ顧客の志向とマッチすることが重要であった。しかし,便益の束と顧客の志向とのマッチングという点において,管理会計は有用な情報を提供していない。また,便益と価格との関係について言えば,価格が便益の評価に大きな影響を与えることが確認された。したがって,価格と比較した期待度の水準を超える「値頃感のある」サービス・パッケージを提供することが重要である。管理会計は原価低減を通じて,決定された便益の束が値頃感のあるサービス・パッケージとなるよう役立つと期待される。サービス・パッケージのデザインにおいては,サービス業独自の性格を考慮することも重要である。本稿では状況の頻度の例を用いて検証したが,サービス業においては顧客の支持を得るだけでなく,利用のたびに購入してもらうための方策が必要である。
- 2000-10-25