サービス業の管理会計の基本的な枠組み
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概要
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経済におけるサービス化の進展にもかかわらず,サービス業の管理会計に関する研究は不足している。サービス業の管理会計については,サービスの一側面のみに注目するのではなく,多面的な検討が必要である。本稿はサービス業の代表的な特性-(1)便益の束,(2)顧客のために行われる活動,(3)無形の財-とその経営上の問題-(a)便益の評価が製品よりも主観的に行われる,(b)サービス提供中に管理者がサービス提供プロセスに介入できない,(c)キャパシティの設定-を整理し,多面的に検討した。そのうえで,管理会計システムにおいて考慮すべき管理上の問題点を明らかにした。非経常的な管理会計はサービス・パッケージの設計を支援する必要がある。また,便益,コスト,サービス提供プロセスの標準化,サービス提供能力の設定といった問題を統合的に扱えるような新たな枠組みが必要である。経常的な管理会計については,サービス提供プロセスの標準化の度合いが便益の提供水準に影響を与えること,サービス提供プロセスの目標および性格によってコントロールの方法を使い分けるべきことを指摘した。また,2つの管理会計は相互に深い関連性を有している。経常的な管理会計はサービス・パッケージの見直しを行う際に,貴重な情報を非経常的な管理会計へ提供する。
- 1999-10-25