経営政策論による企業の社会的目的への接近 : 現代企業社会と経営政策についての一考察
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概要
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現代企業に求められる社会的目的の政策的意味について考察する。まず,企業と社会論の系譜から,企業は社会的均衡の攪乱要因であると同時に,均衡の回復・維持装置としての主体的役割が期待されているとする。かかる観点は,企業を社会システム体系のなかに位置付けるものであり,企業の社会的目的とは,システム体系における行動規準の策定の問題,すなわち経営政策論として把握される。経営政策論は,アメリカ経営学では実践上の貢献を重視した管理技術論的性格から出発し,理論的体系化が志向されたものであるが,今日におけるそれは,社会的目的を議論の範疇に含める理論化が見られる。他方,ドイツ経営経済学では,当初より企業の社会的存在の観点が重視されており,それが経営政策論に反映されてきた。ここでは,システム論的見地から概念を規定することが必要であるとし,経営政策論が,企業の社会的性格を戦略的に把握し,行動規準として社会的目的を位置付ける議論であることを述べる。次に,社会的目的について若干の視点の整理を行う。その際,非経済的目的としての社会的目的を経済的目的と対立的に把握する考え方と,経済的目的の上位目的として経済的目的に関連する側面を社会的目的として把握する考え方とを区別する。そして,日米両経営者団体による企業の社会的責任論の考察を通じて,経営政策理念の必要性を提起する。
- 慶應義塾大学の論文
- 2001-06-25
著者
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