基本高水流量は正しく決定されたか : 山鳥坂ダム問題を考えるために
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概要
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2003年10月,社会資本整備審議会河川分科会で,(他の水系と並んで)肱川水系河川整備基本方針が決定された。実は,今回の治水計画(特にダム建設の必要性の根拠となる,基本高水のピーク流量)を決定した(一連の)プロセスは,既定計画の数値が妥当かどうかを,計画策定時の方法とは別の方法で「検証」し,妥当だと判断したので,既定計画の数値をそのまま「踏襲する」,というものである。肱川を含め検討されたすべての水系は二つの仕方で「検証」がなされたが,そのうちの一つ「流量確率による検証」はまったく何の検証でもない。(国交省は「検証した」と主張しているが。)もう一つの「既往洪水からの検証」に,肱川は合格しなかった。(国交省も認めている。)従って,昨年秋に決定された肱川水系整備基本方針はまったく正統性をもたない。 他方,1978年に決定された「基本計画」は,今回の「検証」が失敗したとしても,そのまま生き残ることになるのではなかろうか。しかし,今回の「資料」の中で,78年の「基本計画」(の基本高水ピーク流量)は,「流域外の降雨データ」に基づいて作成されていたことが明らかになった。従って,肱川水系に関しては,基本高水流量の決定はやり直しされなければならない。
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