実践三段論法による道徳的推論の指導としての道徳教育
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概要
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本論の目的は,実践三段論法による道徳的推論の指導としての道徳教育について吟味することである。まず最初に,実践三段論法を,定言三段論法第一格AAA式に変形して検討し,この形式の推論の逆推理を用いて道徳的原理を導くことができるということを明らかにする。つぎに,こうした推論の指導としての道徳教育に対する批判として,理解していても行動に移せないという事態が指摘されるということを取り上げ,それが対抗的三段論法で解決可能であるということを示す。さらに,絶対的な「~ねばならない」を不合理な信念として排除しようとする理性感情行動療法との比較検討をとおして,実践三段論法による道徳教育の特色をさらに鮮明にし,まず道徳的に絶対的な「~ねばならない」を教えることが大切であるということを示す。実践三段論法は,通常考えられているよりも広い範囲に適用可能であり,道徳教育における道徳的推論の指導モデルとして有効であるというのが,本論の暫定的な結論である。In Japan, we are apt to make a program of moral education from an affective point of view. But nowadays it is necessary to develop pupil's reasoning ability in the field of morality. Because almost all young people who give rise to trouble are apt to get emotional when they must think about matters rationally. This paper is an attempt to examine a line of moral reasoning in moral education from the perspective of practical syllogization. First of all, a logical syllogism and its reversed usage are examined. Secondly, a counter-syllogism is presented to explicate a relation between what we know we should do and what we do. And thirdly, moral education in the light of practical syllogization is compared to Rational-Emotive Behavior Therapy. A tentative conclusion is that the practical syllogism is useful as a instruction model of moral reasoning in moral education.
- 上越教育大学の論文
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