依頼負担度の数量化に向けて : 第二言語語用論研究における実験対象場面の有効性の実証と選択
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概要
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第二言語語用論研究における実験方法は、コミュニケーション研究で用いられる実験方法と共通する点が多い。どちらの実験でも、被験者に対し調査対象の場面を提示し、そこで使われる最も適切な言語表現を発話あるいは紙面に記入させるという方法を採る。しかし、コミュニケーション学の領域では、被験者に対象場面を提示する前に、その場面を構成する場面因子(対話者の地位・対話者間の親密度・発話行為上の負担度等)が被験者の知覚を正確に反映しているかどうかを、別の同等の被験者群を使って確認するところから始まる。つまり、実験者と被験者の対象場面(場面因子)に対する知覚が基本的に違っていれば、その実験結果は被験者の調査対象項目に関する実態を正確に伝えているとは言えないのである。第二言語語用論研究では、このような対被験者の実験対象場面の有効性を予め実証しておくという前実験段階での配慮がほとんど為されてこなかった。本研究は、「依頼発話行為における負担度」という場面因子に焦点を当て、この第二言語語用論研究方法上の不備点を改良すべく試みられたものである。具体的には、日本人英語学習者を被験者とし、負担度が異なる英語依頼場面において日本語の依頼慣用法がその程度転移可能であるかを探る実験を想定した。そして、「依頼における負担」という抽象概念を数量化することによって被験者から見た依頼場面の負担度を統計的に実証し、研究目的に最も適切で且つ依頼負担度において被験者の知覚を正確に反映した依頼場面の選定を試みた。
- 九州大学の論文
著者
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